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更新日時:2012年9月20日 00時00分

Doragon Ash「Run to the Sun /Walk with Dreams」に込めた新たな決意。

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VA 10月号

VA 10月号

 激しさと、包容力。相反するその2つの要素は、Doragon Ashの音楽を形容するときに欠かせない要素でもある。まさにそこをクローズアップした作品が、今年8月にリリースされた企画ベストアルバム『LOUD&PEACE』であり、そのコンセプトに触発されて生まれたのが、デビュー15周年を迎えたドラゴンイヤー(辰年)に放たれる新作、W-A SIDE SINGLE「Run to the Sun /Walk with Dreams」だ。
「ミュージシャンは楽器持ってる時だけが重要なんじゃなくて、どういう音楽を聴いて、どういう生活をして誰と会って何を話して何を得たかでアウトプットされるものが全然違うし、俺はそれをめっちゃ意識してる。今回の『Walk with Dreams』もそういう、俺にとってはめちゃくちゃ些細なよくある日常から生まれた曲なんです。で、スタッフから『LOUD&PEACE』の企画を聞いてそれもアリだな、俺も『Walk~』って曲作ったから、じゃあ『Run』だなと思って『Run to the Sun』を作って、今回はその2曲をワンパッケージにして出したっていうことなんだよね」(Kj/Vo&G)
「どっちの曲も最初に聴いた時、Kjっぽさがすごく出てると思った。ある意味彼のソロでもいいんじゃないかなってくらい。で、Dragon Ashみんなでレコーディングして、ライヴをやって。それでやっとDragon Ashになってきたかなって気がする。もちろん今までの曲もそうなんだけど、今回は特に俺はそう感じた」(BOTS/ターンテーブル)
 特に「Run to the Sun」は「今のDragonをより象徴している曲に聞こえる」とKj自身も自覚するほど、疾走するヘヴィなロックサウンドの中から、熱く深い決意立ち上る1曲になっている。

「気持ちとか音も含め、今自分はこうあるべきだっていうか。まぁ、最近起きてる問題がそんなに簡単に咀嚼できるようなことじゃないから、加速して振り切るって方がまだ可能性が見いだせる、俺は」(Kj)
「走りたい、走るんだとかじゃなくて、Aメロでいきなり<走らせてくれ>って言ってるからね。走る行為ってさ、誰かに“やらせて”って願う行為じゃないじゃん? それを<走らせてくれ>っていうのが、俺は新しいなって思うし、今はそういう言葉が出てくるモードなんだろうなって」(桜井/Dr)
 簡単に咀嚼できない問題とは、4月に急逝したベーシスト、IKÜZÖNEのこと。「今年は15周年だし、よし行くぞっていう一発目のレコーディング」(Kj)となった今作から、まさに走り出そうとした瞬間に起きてしまった、思いも寄らない悲劇。それでも、自分たちがこれまでそう歌い鳴らしてきたように、少しでも前に踏み出すため、全国5ヵ所でIKÜZÖNE追悼ツアー“Dragon Ash Live ~REST IN PEACE IKÜZÖNE~”を開催。7月に配信のみで先行リリースされた「Walk with Dreams」「Run to the Sun」のいずれのナンバーもそこでいち早く披露され、涙と熱気とともにオーディエンスに迎え入れられた。
「ライヴでやってみて印象がけっこうガラっと変わったのが『Walk with Dreams』。思っていた以上に激しい曲だなって感じた」(HIROKI/G)
「わーっと盛り上がる『Run to the Sun』とは対照的に、『Walk with Dreams』はまた違う盛り上がり方というか、お客さんの違う顔が見られましたね」(DRI-V/ダンサー)
「『Walk with Dreams』はもとからそういうコンセプトで作った曲っていうのもあるけど、『Run to the Sun』と対比させて聴くと余計ぐっと来ますよね」(ATSUSHI/ダンサー)
「(咀嚼できない問題と対峙した場合)走ってる方が俺はラクだけど、それは人によるというか、歩いてる方がしっくりくる人もいるだろうし。だから、2曲あることによって、結果的にいろんな人に当てはまる1枚になればなって思います」(Kj)

 そんな今作はIKÜZÖNEの最後のレコーディング作ということもあり、彼に捧げる追悼盤して、急遽リミックスを追加した形でリリースされることになった。名曲のリミックスを手がけたのは、生前のIKÜZÖNEと親交の深かったL.N.A.(hide with Spread Beaver)と、DIR EN GRAYのToshiya。
「馬場さんへの追悼の作品にするんであれば、そうした方がいいんじゃないかってことで俺が提案して。で、ジャケとかも全部作りなおしたんだよね」(Kj)
 また、DVD付きのパッケージには追悼ツアー“Dragon Ash Live ~REST IN PEACE IKÜZÖNE~”の冒頭で上映されていた、IKÜZÖNEに焦点を当てた約40分の映像も収録。デビュー前のレコーディング風景から、今年4月に開催されたROTTEN GRAFFTYとの対バンライヴまでの映像が収められたそのDVDは、ツアーに参加できなかった人にとってはもちろん、15年のDragon Ashの軌跡を振り返る意味でも貴重な作品となっている。
「お高いんでしょ~?」(Kj)
「今回は2曲のリミックスを収めた通常版に加えて、DVD付きの方はですね、ライヴの時に上映した映像もつけさせて頂きまして……1,980円!」(桜井)
「お値段以上ですから~」(Kj)
 今回、VAの表紙巻頭を飾るということで、メンバーたっての希望により、それぞれの名札の付いた代官山 蔦谷書店のユニフォームを着用。営業中のその店内にて撮影が行なわれた。かけがいのない仲間を失った悲しみと空白は、この先も決して癒えることはないけれど、彼らの音楽への情熱とユーモアは、デビューから15年経った今も少しも変わっていない。
「マジ打ちひしがれてるときに、こうやって取材でも盛り上がれてるっていうのがいいよね。この姿勢がもう『Run to the Sun』なわけよ。これよ、Dragon Ashのいいところは」(Kj)

INTERVIEW&TEXT:KANAKO HAYAKAWA PHOTOGRAPH:REISHI EGUMA