更新日時:2013年2月20日 00時00分
サカナクションインタビュー/サカナクションの瞬間のリアル 6thアルバム『sakanaction』発表【3】
アルバムに込められるサカナクションの今この瞬間
─「ミュージック」が顕著だけれど、歌詞の面では、音楽を追い求める一郎くんの姿とバンドの立ち位置、そして時代との対話を交差させること、それをこれまで以上に突き詰めている印象がある。
「うん。そういう感じを突き詰めているし、その結果、歌詞はより抽象的になった。今回は、言葉のリズムが意味を上回っているんです」
─というと?
「今回は音からイメージして言葉を紡いでいるから、言葉に余白がないとサウンドの意味やクラブミュージック感が希薄になってしまうんですよね」
─言葉がサウンドの意味を奪ってしまうと。
「そう。音の世界を狭めてしまう。特に『ミュージック』はそのバランスが難しかった」
─アルバム完成までにまだその作業が…。
「7曲分もあるんです(苦笑)」
─ちなみに残りの7曲はどんな音をまとっているんですか?
「すごくグルーヴィです。自分でも“こんなルーキーが出てきたらヤだな”って思う曲ばかりですよ。ちょっと嫉妬するなって」
─あらためて、このアルバムで何を切り開きたいと思っていますか。
「今この時代、この瞬間に僕らがどういうことを考えて、どういう戦略を立てて、どういう感情で音楽を作っているのか、このアルバムにすべて込めます。それをリスナーにもきっとリアルに感じてもらえると思うし、日本の音楽シーンに対してワクワクする人が増えたらいいなと思う。表裏一体というテーマとは引き続き向き合っていくと思うけど、これからは音楽を伝える手段として、音だけじゃなくなってくる可能性もあるなって思うんです」
─総合芸術的な側面が強くなる?
「うん。もちろん、音楽としての機能もちゃんと持ったままね。ジャケットやミュージックビデオもその一部だけど、リスナーにもっとリアルな音楽体験をしてもらいたい。たとえば――山頂に視聴機があって、そこに行かないとアルバムが聴けないとかね(笑)。この景色を見て聴いてほしいから、っていう。そういうことに近いかも。ビジネスにはならないけど」
─そういうマイルストーンとなるチャレンジをするためには、表の部分でしっかり勝たないといけないしね。
「うん。ただ、サカナクションって世の中的には今がいちばん旬だと思うんです。旬はずっと続かないことを自覚しながら、攻めの姿勢をもち続けないと。現状に溺れた時点で、自分たち自身もつまらなくなるから」
─でも、僕は、サカナクションは旬を更新するバンドでもあると思う。
「ありがとうございます。まだまだやりたいことがありますからね。そのために止まれないです」